小学校低学年のねらいのひとつである、「プログラミングの考え方に慣れること」。これは、プログラミングに慣れることとイコールではありません。「プログラミングの考え方って、プログラミングにしか使わないんじゃないの?」「プログラミングソフトで遊ばせておけば、プログラミングの考え方に慣れるんじゃないの?」……これらの問いに対する答えは「いいえ!」です。

プログラミングの考え方(プログラミング的思考)は、プログラミングに限らない問題解決のための思考法です。プログラミング的思考がどのようなものか、まとめたものが下の図です。

プログラミング的思考について詳しいことを知りたい場合はこちら(文部科学省のサイトにジャンプします。図は参考資料から加筆しています)

例えば、「手洗いを知らない子どもに、きちんと手を洗ってもらいたい」という課題があるとします。「きちんと手を洗って!」と言うのは、課題の解決になっていませんね。では、どうすれば良いのでしょうか。

まず、「きちんと手を洗う」という複雑な動きは、「手のひらを洗う」「手の甲を洗う」「指の間を洗う」といったシンプルな動きに分けることができます。これが、「必要な動きを分けて考える」ステップにあたります。

分けられた後は、その子どもに指示(命令)を出していきます。「手のひらを洗う」という動きをさせたいとき、どのような指示(命令)を出せば相手に伝わるでしょうか?「あなたの両方の手のひらを合わせて、こすりあわせて。」他の部位も同じように考えていきます。これが、「動きに対応した命令にする」ステップにあたります。

それぞれのさせたい動きを指示(命令)に置きかえられたら、指示の順序と動きの順序をそろえて、相手が動きやすいように整えます。これが、「組み合わせる」ステップにあたります。

出来上がったら、子どもへさっそく指示を出してみます。「あなたの両方の手のひらを合わせて、こすりあわせて。」……なんと、水も石けんもついていない手をこすり合わせています!「ごめんね。最初に、お水で両手をぬらして。」と指示(命令)を加えることで、手洗いを知らなかった子どもでも、手洗いをすることができました。考えたりやってみたりする中で、うまくいかない部分を確かめて修正し、課題の達成につなげていくことが、「試行錯誤しながら継続的に改善する」という部分にあたります。

このように、プログラミング的思考は、私たちの日常のくらしに転がるちょっとしたつまずきや、仕事で立ち向かう複雑な社会問題にも使える考え方なのです。しかし、さまざまな問題解決に有効なプログラミング的思考は、一朝一夕で身につくものではありません。運動や楽器の演奏と同じく、正しいやり方でたくさんトレーニングするほど上達・洗練されていくという特徴があるのです。


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